DESIGN + TOKYO

WEB MAGAZINE by TP tokyo vol.001

結果を出すデザイン。
中目黒のビーントゥバー。

green bean to bar CHOCOLATE
マネージャー 奥森香子さん インタビュー
2016.07.01

成功するショップの共通項

近年、増え続ける東京都内のチョコレートショップには、上質なパッケージデザインが多く見られる。トレンドは、チョコレートの美味しさをデザインでストレートに表現するというより、どちらかといえばミニマルな方向性。女性客を強く意識した業態ではあるものの、「カワイイ」「ファッショナブル」といったイメージより、「クール」「オーガニック」といった印象を与えるパッケージが目につく。こうしたパッケージデザインは、そのショップイメージの定着に大きく貢献。ハイレベルなデザインリテラシーは、成功するショップの共通項とさえ思いえる。

思いを伝える透明性

チョコレートというカテゴリーの中でも、とりわけビーントゥバー専門店のデザイン戦略は総じてレベルが高く、よく練られたものが多い。取材に訪れたのは、中目黒の 人気店「green bean to bar CHOCOLATE」。マネージャーの奥森香子さんはこう話す。
「こうしたショップを展開するにあたって私たちが大切にしようと考えたのは、まず、可能な限り良質な素材を使った上で、自信を持って美味しいと言えるチョコレートを提供しようということ。そして”食”の大切さをあらためて認識していただくようなサービス、ショップのあり方を追求していくことなどでした。特にこだわったのは、製造過程を全てお見せするような店舗のデザインにするという点です。世界中から良質なカカオ豆を選定し、製造工程、温度管理の様子まで、全てをお客さまが確認できる。こうした透明性によって、私たちの思いが100%伝えられると考えたんです」

こだわりはものづくりの本質的な部分

質感の良い和紙にくるまれたチョコレートバーは、ダイレクトに「和」を感じさせる洗練されたデザイン。日本の伝統的な和柄をモチーフにしたパッケージは、このショップならではの個性ともなっている。このパッケージデザインが出来上がっていったプロセスについて、奥森さんはこう説明する。
「日本のものづくりを象徴する和紙は、職人さんの思いや技術が詰まったもの。紙を通じて人に思いを伝える、という部分に私たちは共感したんです。私たちも世界中から豆を集め、思いを込めながら商品を作っている。製造には一ヶ月半かかるものさえあり、時間も非常にかかっているんです。つまり、私たちがこだわっているのは、ものづくりの本質的な部分。この思いが、和紙とシンクロしたのです。」

金紙でバーを包む工程、和紙によるパッケージング、ステッカー貼りまで、全て手作業で行っているとか。こうした丁寧なものづくりのプロセスは、確かに和紙の上質な質感と共鳴する。和紙に印刷されたトーンに関しては、日本独特の藍色でまとめられた。外部のアートディレクターと何度もやりとりを繰り返しながらデザインを絞り込んでいったそうだ。

質の高いデザインのカギ

「社内にもデザインチームがあるんですが、今回のデザインは外部に発注しました。外部の方とのコミュニケーションは幾度となく繰り返しましたし、私たちの思いを伝えるのは簡単ではありませんでしたが、結果としては素晴らしい仕上がりになったと思います。社内にデザインチームがあることは私たちの強味ですが、時によって外部のデザイナーにお願いすると、新鮮な気づきもあります。社内の人間だから分かることもあれば、外部の方だから分かることだってある。今回は外部の方だからこそ、私たちのマインドを増幅してデザインに落とし込めた部分もあると感じています」

見た目だけを追求するのではなく、企業の思想を忠実に表現したパッケージのデザイン。このように裏付けのあるデザインは間違いなく強度を増す。結果、デザインを通じたビジュアルコミュニケーションによって、顧客へと確かなメッセージが伝わっていくのだ。質の高いデザインのカギは、発注元が自らを理解し、その思想をデザイナーへ確実に伝えること。そしてデザイナーとのコミュニケーションは妥協せず、十分に行うこと。結果を出すビジネスの背景には、こうした正しいデザインプロセスが必ず、存在している。

green bean to bar CHOCOLATE(グリーン ビーントゥバー チョコレート)

http://greenchocolate.jp

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